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山車祭り一色に染まる半田の春 10地区にて多彩な祭りが次々に繰り広げられる

2018.2.26

半田の本格的な春は山車祭りとともに訪れます。3月下旬から5月3日・4日にかけて、市内10地区で山車祭りが行われ、精緻な彫刻で埋め尽くされた総勢31輌の山車が登場します。からくり人形、獅子舞、三番叟など各地区ならではの神事が行われ、観客を魅了します。

半田の春まつり

行く前に見どころをチェック!

彫刻

彫刻
半田の山車には、今にも動き出さんばかりの躍動感あふれる唐獅子や龍が、面を埋め尽くように彫られています。この立体的な欅による素木の山車彫刻は、諏訪の立川一門や半田の彫常一門等の名工の作。亀崎村の成田新左衛門が遠州の秋葉神社を参詣したとき、山門の力神像を見て感激し、すぐに作者である立川一門へ彫刻を依頼したのがきっかけで生まれたといわれています。木肌のもつ味わいを最大限に生かした立川一門の素木彫刻は、多くの職人たちに影響を与え、半田の山車や神事は飛躍的に発展しました。

亀崎潮干祭り風景

亀崎地区の潮干祭
ユネスコ無形文化遺産にも認定された亀崎地区の潮干祭は、海から祭神が上陸したという伝説にちなんで、五輌の山車を浜辺に曳き下ろし、横列に並べ、再び陸へと曳き上げる勇壮な祭りです。若者は腰まで水に浸かって綱を曳きますが、湿った砂に車輪が埋まってなかなか動かすことができません。奮闘の末に再び動き出すと観客からは大きな拍手喝采が湧き起こります。

田中組_上山人形_傀儡師_近影

からくり
半田市の山車31輌のうち、20輌の山車に合計31戯のからくり人形が載り、神社境内にて奉芸され、その妙技は観客を魅了しています。
人形は山車の上部で上演する上山(うわやま)人形と、山車の前部で上演する前棚(まえだな)人形に大別され、特に上山人形は逆立ち、綾渡り、乱杭渡り、肩車、変体、弓射りなど大掛かりなからくり機構を備えたものが多く、ダイナミックな動きは見ごたえ十分です。また、江戸中期の竹田からくりの流れを汲む亀崎田中組の「傀儡師(かいらいし)」は、人形舞による謡曲「船弁慶(ふなべんけい)」の人形操者である傀儡師自身をからくり人形にした(いわば人形遣いを人形が演じる)全国唯一のもので、大変貴重なものです。
 前棚人形は能の流れを汲み、五穀豊穣を祈願する「三番叟(さんばそう)」が多く演じられており、3名の操者が頭・胴・手・脚を直接持って隠れ遣い(三人遣い)するのが特徴で、人形が生きているかような表情豊かな舞を披露します。この三人遣いの人形三番叟は半田市周辺でしか伝承されておらず、この地域を特徴づける文化遺産となっています。

はんだ山車まつり

はんだ山車まつり
半田市内10地区の春祭りの山車31輌が一堂に勢揃いするまつりイベント、それが「はんだ山車まつり」です。
昭和54年5月5日に第一回が開催され、現在では5年毎の半田市制周年記念の年の秋(10月初旬)に2日間で開催されています。
JR半田駅から半田運河、半田市役所にかけたエリアで行われ、山車の曳き廻し、供覧、からくり人形上演だけでなく、半田運河でのちんとろ船・花火、県内外の伝統芸能を披露するステージ、山車装飾(刺繍、彫刻、人形等)工房による展示会など多彩な催しも行われます。
一番の見どころは、桟敷のある整列会場への山車の曳き込みです。31輌の山車が勢揃いした情景は圧巻で、まさに「山車絵巻」そのものです。
直近では平成29年10月に第八回が開催され、全国から55万人の観客が訪れ、半田の街は熱気に包まれました。
<祭りを動かす人たち> 
祭りについてアレコレ聞いてみました
半田山車祭り保存会 会長 榊原敏雄さん

なぜ半田で山車がたくさん作られたのですか?
かつて江戸後期から大正にかけて、大型の山車を造る財力がこの地方にあったことと共に、村々がそのことを競い合う負けん気の精神ですかね!

こういった神事を続けていく苦労はありますか。
社殿内では厳かな神事ではあるけれど、奉納としての山車曳き、人形技芸等は、自分たちが楽しいからこうやって続いてきたんだと思うんです。奉納の後、盛り上がって酒を飲み御馳走を食らう、それが一番の娯楽。何百年も続けてこられたのは、素晴らしいことだと思います。ですが、現在は娯楽の多様化の時代、次の時代を育てる、残すという事が最も大切となります。言い伝え、見て覚えろでなく、きちんとした形での記録化と共に時代に合わせた継承も必要かと思います。

曳き別れ

各地区で行われる面白い神事はありますか。
神事はあくまで神事だから面白いようなことはないですけど(笑)、春の山車曳き神事は、亀崎、乙川、下半田のように、神輿にのった神さまが氏神からから御旅所や他の神社までお渡りして翌日お還りになるという形と、その他の地区のように、本宮を中心にそれぞれの町内の末社や秋葉社を山車がめぐる形の2パターンあります。
それぞれの地区での違いといえば、祭りの千秋楽の曳別れの形に特徴があります。例えば西成岩地区では神社の坂を下った後、西組敬神車と彦洲組日の出車がそれぞれ東と西に別れ「ひきわかれの儀」が行われます。紅白の紙吹雪が大量に舞って、それはきれいですよ。
各地区の曳き別れそれぞれに工夫して見せ場を作っています。
岩滑地区は岩滑中町交差点で行われる迫力の大回転、上半田地区のちんとろ舟、下半田の4輌の曳き別れ、協和の急坂の上り下りなど地区ごとに見ごたえがありますね。今年は4月14日、15日に多くの地区で祭りが行われ、神社ごとが歩いていける距離なので、ぐるっと回りやすいかと思います。パンフレットで山車の巡行の時間を確認しながら、ぜひお出かけください。